『盛岡での修習1』弁護士 林裕介

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 司法修習とは,前回もご説明しましたが,司法試験合格後の,1年間の実地研修期間です。この司法修習は,11月の終わりころから始まります。私の盛岡での修習も,その時期から始まったわけですが,11月の盛岡は,もう完全に冬が到来しており,修習初日から雪が降っていました。

 司法修習は,大きく分けて,3つの期間の研修に分かれます。1つ目は,裁判所で行う修習(裁判所修習),2つめは弁護士事務所で行う修習(弁護修習),3つめは,検察庁で行う修習(検察修習)です。

 私と同期の盛岡の修習生は14人でした。この14人が4班に分かれ,裁判所(民事部と刑事部),弁護士事務所,検察庁の各所を2か月ずつ回ります。

 私の班は,検察修習からのスタートでした。
 検察修習は何をするかというと,被疑者が起こしたとされる事件について,まずその行為を行ったのが本当に被疑者なのか,仮にそうだとしてもその行為が犯罪にあたるかどうか,といったことを判断します。

 この判断にあたって材料となるのは,警察官が集めてきた,被害現場の実況見分調書や被害者の供述腸著といった数々の証拠です。そして必要であれば,追加捜査を警察官に指示してさらに証拠を集め,最終的に被疑者を起訴するかどうか決めます。

 この検察修習の中で,私が一番大変だったのは,被疑者の取調べです。質問の内容や質問の仕方を事前に工夫しながら,その被疑者が本当に犯罪行為をしたのかどうかについて,核心をつく供述が得られるように質問していきます。この準備が大変でしたし,しかも取調当日も,私が想定していなかったようなことを供述し始めることも多々あり,なかなか大変でした。

 検察修習は,被疑者に直接相対して供述調書作っていくなど,責任のある内容の仕事を任され大変なことが多々ありましたが,弁護士となった現在においてはもう2度と経験できない貴重な体験をたくさんすることができました。

 次回は,盛岡の魅力について,書いてみたいと思います。