当事務所の所員が、日々の弁護士活動を行なう中で感じていることや思っていること、法律とは関係のないプライベートなことまで、自由にコラムを書いております。

『「正義」を考え続けるということ』 弁護士 岩坂康佑2019年09月13日

私たち弁護士は、「基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」職業です(弁護士法第1条1項)。しかし、何をもって「正義」とするか、ということは極めて答えることの難しい問いです。

この問いに対しては、「何を「正義」とするかなんて人によって違う。だから、真の「正義」などない」、という答え方もできます。人には様々な考え方があるのですから、この答えには一定の説得力があります。

しかし、そのような考え方は、突き詰めると、「正義」の存在を否定することにつながりかねません。もし「正義」が存在しないのだとすると、ある問題に対して多くの人が共通の考えを持つのはなぜでしょうか。例えば、「人の物を盗んではいけない」と多くの人が考え、法律で窃盗罪が処罰の対象とされているのはなぜなのでしょうか。このように考えると、普遍的な「正義」を見出すことはできるのではないかと思えてきます。

また、社会には多種多様な問題があります。私たちは、それらの問題に何らかの答えを出し、乗り越えていかなければなりません。このとき、私たちは普遍的な「正義」を追い求める必要があります。「正義」などない、と問題から目をそらしてしまえば、世界はめちゃくちゃになってしまいます。

普遍的な「正義」を見出すことは極めて困難です。しかし、だからと言って、「正義」を追い求めることをやめてはならないと思います。簡単に答えが出なくとも、諦めずに考え続けていくべきです。そして、社会の中で「正義」を追い求めるならば、一人でではなく、他者と共に考え続けることが大切であると思います。他者との対話や議論を重ねることで、社会的に説得力のある、普遍性のある「正義」に近づくことができるのではないかと信じたいです。

【弁護士 岩坂康佑】

 

 

 

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