『長時間労働について考えること』弁護士 林裕介

私は、普段、はたらく方からの労働相談を受けることが多くあります。その中には、長時間労働を行い、結果として体調を崩して退職をしてしまった方も大勢おられました。そのような方々からの日々のご相談を受け、残業代請求、慰謝料請求、労災申請など、ともに解決に向けた方策をとってきましたが、長時間労働に関するご相談は、減ることがありません。このため、長時間労働について、個々の方々が直面した事件を解決していくことのみならず、その背景にある社会的な問題も改善していかなければ、長時間労働で悩む方を減らすことは困難なのだと実感しています。

ここで、海外に目を向けてみると、ドイツでは、1日10時間を超えて働いてはならず、6か月間の平均労働時間は、1日8時間以内にしなければならないと、法律で定められています。有給消化率も、日本の倍で、休暇というものを非常に重視しています。他方で、労働時間は少なくとも、経済の方は順調で、国内総生産(GDP)は、世界第4位を誇っています。

このドイツのように、日本も、長時間労働などではなく、8時間だけ働き、余暇を十分に謳歌しながら、普通の暮らしができる社会を目指す制度が構築できないものかと思います。その中では、年々引き下げられている社会保障の水準を引き上げることで、生活に対して、個々の収入以外による社会的な支援を図っていくことも、非常に重要だと思います。

以上が、はたらく方のご相談を日々お受けする中で、私が実感していることでした。

【弁護士 林裕介】