『裁判員裁判研修に参加しました』 弁護士 岩坂康佑
2月20日、21日の二日間にわたり、日本弁護士連合会が主催する、「裁判員裁判のための法廷技術ワークショップ」に参加しました。
この研修では、裁判員裁判において弁護士がよりよい弁護活動をするための手法を学びました。
裁判員裁判は、我が国で2009年から運用が始まった制度です。殺人事件や放火事件など、一定の重大な犯罪を扱う刑事裁判において、法律家ではない市民の方が裁判員として裁判に参加することになります。
裁判員の方は、①被告人として裁判にかけられている人が本当に犯罪を行ったかどうか(有罪か無罪か)、②犯罪を行ったと判断できるとして、どれくらいの刑を科すべきか(量刑)、ということを、裁判官と一緒に検討・判断します。
弁護士としては、依頼者である被告人が犯罪を行っていないことや、犯罪を行っていたとしても厳罰を科すべきではないことなどを主張しなければなりません。そして、裁判員の方にそうした弁護士の主張を十分にご理解いただき、有罪か無罪かの判断や量刑の判断をする際の材料にしていただく必要があります。
しかし、裁判員の方は、法律家ではないのですから、裁判のことをよくご存知ない方がほとんどです(もちろん、裁判所から裁判手続きについての様々な説明はなされますが)。
そこで、弁護士は、裁判員の方に話を聞いたいただく際に、話の構成や内容、話しぶり、視線、立ち振る舞いなどをしっかりと意識・工夫し、裁判員の方に弁護士の話を理解していただけるように尽力しなければなりません。
今回私が参加した研修では、そのための技術を、実技演習を行いながら学びました。まず、事前にある事件の記録を読み、本番の裁判員裁判で自分ならどのように弁護士としての主張を展開するかを検討します。それをもとに、研修当日は、講師の方々の前で実演を行います。
講師の方々からは、話の内容・構成に関する講評と、立ち振る舞いに関する講評をいただきます。そして、講師の方による模擬実演を見て、お手本を学びます。
二日間の研修は大変勉強になるものでした。裁判員裁判の技術はもちろんのこと、裁判員裁判ではない刑事裁判や、民事裁判にも役立てることのできるノウハウを多く学ぶことができ、とても充実した二日間となりました。
引き続き、このような機会を利用して自分の力を高めたいと思うばかりです。