コロナ対策の失敗の中でもオリンピックをやるのか?    

日本の国内総生産(GDP)がマイナス4・6%とリーマン・ショックが起きた08年を超え戦後最悪の落ち込みとなった。

新型コロナ対応の失敗が経済の落ち込みに結果としてつながっている。

政府が「GoToキャンペーン」など、「経済優先」で検査やワクチンなど基本対策をやってこなかったからだ。

その結果、世界でも日本は経済の落ち込みがひどい状況となった。

迅速・安全なワクチン接種、大規模検査、十分な補償の3本柱で「封じ込め」をはかることが、経済回復の力にもなる。

緊急事態宣言の再延長になったのもやるべきことをやってこなかった結果といえる。

1日1万件の目標を掲げているモニタリング検査も半分しかできていない。持続化給付金、家賃支援給付金の2回目の支給、医療機関への減収補てんなどやるべきことをやっていない。

安倍晋三・菅義偉両政権の1年半のコロナ対応を振り返ってみても、失敗を認めようとしないし、失敗から学ぶこともしない。そんな政権だから対応が遅れるのではないか。

昨年3月の全国一斉休校、アベノマスク、「GoToキャンペーン」などは、国民誰もが失敗だと思っている。間違いを認めて対策を講じることをしてないことに大きな問題があったのだ。

オリンピック実施はその最たるものだ。バッハ会長の「東京五輪実現のために誰もがいくらかの犠牲を払わないといけない」との発言。IOCのコーツ副会長も、新型コロナウイルス感染症対策の緊急事態宣言が発令されているもとでも五輪開催は「完全にイエスだ」などの発言。五輪のために失ってよい命などない。

犠牲を払わなければいけないような五輪は五輪憲章に反する。

五輪憲章が「オリンピズムの目的は、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てること」と定めている。アスリートも犠牲の上に成り立つ五輪を望んではいないだろう。

オリンピックを進めるというIOCの決意は科学的証拠の情報に基づいていない。

日本を含む世界の新型コロナウイルスの感染状況が変異株の出現などで昨年延期した時よりもさらに深刻化している。

日本のワクチン接種率がOECD諸国で最低である。選手へのワクチン接種も10代の多くが受けてないと予想されるなかで東京オリンピックが行われれば選手を含む参加者はオリンピック中に感染し、200カ国・地域以上に帰国するリスクを引き起こす可能性がある。

日本政府は、バッハ会長、コーツ副会長の発言に抗議し、東京五輪の中止をIOCに提起すべきだ。早く決断をしろと言いたい。

                                  小竹光洋