『高齢社会に思うこと』 小竹光洋

    2019年10月の消費税率引上げで、2025年を念頭とした社会保障・税一体改革が完了するとして安倍政権は「全世代型社会保障制度の構築」に取組む方針を決めた。

 しかし、これは①後期高齢者窓口負担2割・少額受診の負担増②軽度の介護サービス保険負担外し・2割負担③子供の給食費を無償化の対象外・児童手当の所得制限など社会保障費の自然増を抑えた高齢者、弱者いじめの方針としか思えないのである。

 日本の総人口は2008年の1億2,808万人をピークに減少が始まり、2053年には1 億人を割り込み、2075年には6,314万人に半減すると推計されている。

 今年65歳以上の人口は3,534万人に達し、うち75歳以上は1,770万人と高齢者の半数を上回った。2025年には高齢者の世帯数は2千100万、うち約7割が一人暮らしや高齢夫婦で暮らすことになるという。

 いま生活保護世帯は164万世帯、うち51%が高齢世帯で高齢世帯の91%が単身者だ。

 そして、月10万円以下の年金受給者は1,200万人を超え、高齢者の貧困化が年々増大している。

 こうした状況に加え、全労働者の37.3%(2,036 万人)が非正規であり、また年収200万円未満の労働者の割合は28.3%と現役労働者の生活も深刻になっている。

 朝日新聞社の世論調査で、安倍晋三首相が掲げた「全世代型の社会保障改革」に「期待できない」が57%で「期待できる」は32%。安倍政権に一番力を入れてほしい政策は「社会保障」と答えた人が30%と最も多かった。医療・介護・年金の社会保障制度の抜本的改革をすることが求められる。

 また、政府は今の臨時国会で入管法を改定し、人手不足対策を口実として財界が求める外国人労働者受け入れの新制度を設ける考えだ。

 正すべきは、低賃金で働いている非正規労働やワーキングプアーの対策で、障碍者の水増し雇用など現状を正さないで拡大していく人手不足対策には大きな問題がある。

 富裕層や大企業の優遇をやめ、応能負担の税制改革と防衛費などの浪費を改め、消費税に頼らない抜本的な社会保障改革を政府に求めたい。