『過酷な労働環境が奪うもの』弁護士 工藤猛

先日、看護学生と話す機会がありました。

その内容は、新人看護師がやりがいを失ってしまうのはなぜかというものでした。

なぜやりがいを失ってしまうのかというと、学校で学んだ事、心のこもった医療、自分が思い描いていたケアが出来ていないのではないかという葛藤が生じることが原因の一つであるとの結論が出ました。

看護学生の実習においては、1人の患者さんを担当するので患者さんとの距離が近く患者さんが求めている事に気付き、それに対応する事ができ看護師という職業にやりがいを感じることができるということでした。

しかし、実際に新人看護師として勤務してみると、一人の患者さんを看る時間が少なく、看護学生時代に考えていた適切なケアや実際に実習において取り組んだケアをする前に、亡くなってしまう患者さんもいるようです。そのような時に、自分は何も出来ていないのではないかとやりがいを失ってしまうことがあるようでした。

なぜこのようなことが生じてしまうか。私は、看護師の労働環境が過酷でひとりひとりに割ける時間が少ない事が原因の1つだと思いました。

患者さんひとりひとりに割く時間が少なければ、患者さんが求めていることに気づくことができず、看護学生時代に学んだ看護ができていないと悩み、やりがいを失ってしまうのだと思いますし、看護学生の方もそのような意見を述べていました。

このように過酷な労働環境では、看護師のやりがいを失わせ精神面において追い詰めていくことになります。

仕事にやりがいと持つということは大事なことだと思います。やりがいがあるから多少嫌なことや辛いこと、理不尽なことがあっても頑張って仕事を続けることができるという話を聞きますし、自分もそう感じております。

しかし、過酷な労働環境によって、働く源であるやりがいを失ってしまっては、毎日が苦痛でたまらなくなると思います。

このように、過酷な労働環境が奪うものは、やりがいという重要なものを奪っていくものだと感じました。

看護学生との交流を通じて改めて、労働環境の改善が必要だと認識しました。

【弁護士 工藤猛】