『盛岡での修習6』弁護士 林裕介
前回に引き続き,盛岡での司法修習について,ご紹介します。
司法修習中は,本当にさまざまな場所に行くことができます。その中で,今回ご紹介するのは,弁護士過疎地の法律事務所での研修です。日本各地には,弁護士の少ない地域がまだ数多くあります。そういった地域では,市民の方が十分な法的サービスを受けられない可能性が出てきます。そのため,日本弁護士連合会が中心となって,弁護士過疎地域に,法律事務所(ひまわり基金法律事務所といいます。)を設立しています。
そして私の司法修習中,岩手県内の,久慈ひまわり基金法律事務所に,1週間お邪魔して,研修をさせていただく機会がありました。久慈市は,弁護士過疎地といっても,人口は3万人以上の市です。それなのに弁護士の数が少ない理由としては,弁護士が仕事をするうえで地方裁判所に行くことが多いのですが,この久地市から最寄の地裁がとても遠いので,なかなか弁護士の仕事をするには大変,ということが挙げられるようでした。
この久地ひまわり基金法律事務所に1週間お邪魔して感じたことは,確かに裁判所に行くのは大変ですが(片道車で1時間以上です。),だからこそ,法律家の役割が他の地域よりも一層大事だということでした。困ったことができたけど,裁判所は遠いし,弁護士も近くにいないということになると,その人の権利は侵害されたままになってしまうかもしれません。
近くに弁護士がいてすぐに相談ができ,そして裁判所に行く負担も弁護士がすべて引き受ける,そういったことは,弁護士過疎地域での弁護士の,とても重要な役割だと感じました。
現在,私が業務をしている川崎市多摩区の登戸も,弁護士が少ない地域で,裁判所にも片道約1時間かかります。裁判所が遠く,大変に感じることもありますが,その大変さを皆さんに代わって私が負うことができていると思うと,嬉しくも感じます。そして,そうしたときに,久慈市で学ばせていただいたことを思い出したりします。
最後に,久慈市は,NHKの朝ドラ「あまちゃん」のロケ地でしたので,久慈での研修後に行ったロケ地の写真をご紹介します。久慈,本当にいいところでした。