『盛岡での修習9』 弁護士 林裕介
盛岡は,詩人(歌人)の石川啄木が生まれ育った場所です。このため,町のところどころに,啄木の歌碑があります。盛岡に研修で移り住んだことをきっかけに,啄木の作品をいくつか読んでみました。
その中で,一番好きな歌は,
不来方のお城の草に寝ころびて
空に吸われし
十五の心
という短歌です。
不来方とは,現在の盛岡を指す地名ですが,少年時代の啄木は,よく学校を抜け出して,盛岡城の跡地である岩手公園で,文学書や哲学書を読んでいたそうです。そして,15才の啄木が,恋愛や学業など様々な悩みをかかえながらも,岩手公園の青い草地で寝転んで空を眺めていると,そういった悩みが晴れてしまった,そんな心情を歌った短歌だそうです。
この短歌を読むと,私も,10代のときの悩みなどを思い出し,少しセンチメンタルというか,懐かしい気持ちになってしまいます。
そんな短歌を残した啄木が育った,盛岡という土地は,研修を終えてここ川崎に移ってきた現在でも,私にとって忘れがたい大好きな場所なのでした。
※写真は,分かりにくいですが,岩手公園内にある,今回ご紹介した短歌の歌碑です。