『盛岡での修習8』 弁護士 林裕介

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今回は,盛岡での修習中,盛岡から電車で数時間の福島に行ったときについてご紹介します。

私は,盛岡での修習の休日を利用して,福島県にある仮設住宅でのボランティアに参加しました。ボランティアの内容としては,各仮設住宅を訪問し,生活の状況についてお尋ねするとともに,お米を1キログラム配布して差し上げるというものでした。

そうした中,ある仮説住宅に住むお年寄りの女性を訪問したときのことです。この女性と会話をする中で,故郷のことについて話が及んだ時,その女性は「早く帰りてぇよ」と言って静かに涙を流されました。この女性の中で,避難生活による疲労,将来への不安といった様々な思いがめぐっていたことと思いますが,やはり故郷の土地への思いは,一層強かったのだと思います。

この時,かけがえのない故郷の土地をある日突然失うということの過酷さを目の当たりにしました。このような経験から,「故郷の喪失」という筆舌に尽くしがたい被害をこうむった大勢の福島の方々の支援活動に,弁護士として携わっていこうと決意しました。

現在私は,ここ神奈川の地で,「福島原発被害者支援かながわ弁護団」に参加し,福島から神奈川に避難されてきた方々のうち原告となった約200名の方々とともに,国と東電を相手として損害賠償請求訴訟を提起し,闘っています。また,川崎では毎年,「原発ゼロカウントダウンinかわさき」という集会が開催されていますが,この集会にも実行委員会として関わっています。

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福島の避難者の方との出会いから,私の弁護士としての生き方は,大きく影響を与えられたのでした。なお,写真は,私が訪問をした仮設住宅と,そこで営業をしていた仮設のコンビニです。