『天皇の代替わり報道』 小竹光洋

ここ12か月の改元、天皇の退位、即位と一連の異常な騒ぎに対して違和感がある。同時に新聞やテレビでの洪水のようなお祝い一色の報道の仕方と異論を封じるようなところに胡散臭さを覚える。

貧困や格差、原発災害、沖縄の基地問題、医療や介護などなど元号が令和になったからと言って何ら変わるものではない。何か国民にとって幸せなことがあったのか?

新天皇「即位の礼」で剣璽(けんじ)等承継の儀や即位後朝見の儀などの儀式が憲法に定められた天皇の行為すなわち「国事行為」として行われたことは問題ではないか。

天皇の地位は主権者国民の総意に基づくものであり、「三種の神器」の「承継」を天皇「代替わり」のあかしとする儀式を国事行為とすることは、憲法の国民主権の原則に反するのではないか。また、神話に基づく宗教色の強い儀式は憲法の政教分離原則にも抵触するのでは。

令和の時代を「一億総活躍社会」と自分の政策をアピールし、憲法改正を狙っている安倍政権のたくらみと宣伝に乗っ取られたかのような状況だった。そして、天皇を元首(国を代表する資格を持ったもの)と規定する自民党の改憲案の本音と重なってしまう。

天皇制について忘れてはならないのは過去、天皇の名で行われた戦争の歴史である。

そもそも元号をこのまま続けていいのか?象徴天皇制はこれでいいのか?女系天皇の問題はどうなるのか?儀式に問題はないか?メディアはほとんど触れていない。

30以上もの代替わりの儀式が11月まで行われると言うが、代替わりの祝賀ムードに流されず元号や天皇制について考える機会ではないか。

【小竹光洋】