よくあるご質問をまとめました【成年後見制度】

成年後見制度について、よくあるご質問をまとめました。

成年後見制度全般については、こちら(取扱分野/後見制度)もぜひご参照ください。

 

Q 成年後見の申立てに、診断書が必要ということですが、精神科医に作成してもらう必要があるのですか?

A 精神科医に作成してもらうのが望ましいといえます。ただし、ご本人の精神状況について日常的に診ている精神科医以外の主治医がいる場合には、その医師がご本人の状況についてよく把握しているので、まずは主治医に相談されてみられてもよろしいかと思います。

 

Q 後見が必要な本人が、住民票(例:川崎市)と異なる市町村にある介護施設(例:小田原市)で生活している場合には、その場所を管轄する裁判所(例:小田原市)に後見開始の申し立てを行うことはできますか?

A 原則として、申立を行う裁判所は、ご本人の住民登録地を管轄する裁判所です(例:川崎市だと、横浜家庭裁判所川崎支部になります。)。

ただし、住民票上の住所と異なる場所で生活をしていることの分かる資料(例:施設入所契約書等)などを準備・提出することで、生活場所を管轄する裁判所に、申立が可能となる場合があります。

 

Q 後見開始の申し立てを行いましたが、後見人が選任される前であれば、取り下げることはできますか?

A 原則として、取り下げることはできません。

理由としては、申立人が希望する者が後見人に選任されそうにないことを知るなどして申立を取り下げることができてしまうと、本人保護という後見制度の目的に合致しない結果となるからです。

ただし、後見開始の申立後に、本人が能力を回復した場合などには、取り下げを許しても本人保護という後見制度の目的に抵触しませんので、取り下げが許可される場合があり得ます(能力の回復について、医師の意見を慎重に確認することが前提となります。)。

 

Q 後見人に選任されるとまずやることはどのようなことですか?

後見人がまず行うことは、本人(被後見人)の財産や収支状況を把握して、家庭裁判所に報告することです。

後見人は、不動産・預貯金・現金・株式・保険等の財産を確認します。また、年金の金額などの収入と、医療費や施設利用費の金額等といった支出も、確認します。そのうえで、所定の書式に、本人の財産の目録と、年間の収支予定表を作成します。通帳のコピーや不動産の登記簿謄本など、目録の裏付け資料も、添付します。

このようにして作成した財産目録や年間収支予定表等を、家庭裁判所に提出します。

後見人は、原則として以上の報告を終了後に、本人の財産の管理などの実際の後見業務を行っていくこととなります。

 

Q 本人は居住用の不動産を所有していますが、管理が大変なので、後見人として、その不動産を売却することはできますか?

A まず、本人が所有している「居住用不動産」を、後見人が売却などの「処分」をするには、家庭裁判所の許可が必要です。

この「居住用不動産」とは、本人が居住するための所有権または賃借権などを有する建物または敷地のことをいいます。これは、本人が現に居住している場合に限らず、現在は病院や施設に入っているものの、将来居住する可能性のある不動産や、過去に本人が居住したことのある不動産も含みます。

そして、家庭裁判所の許可が必要な「処分」とは、売却、賃貸、賃貸借の解除、抵当権の設定や、建物の取り壊し等が含まれます。

このような、「居住用不動産」について「処分」の許可がされる場合としては、例えば、本人に預貯金などが少なく、生活費や医療費等のための流動資産が必要な場合などがあげられます。他方で、処分の目的が、後見人が管理をする際の負担の軽減にあるという場合、本人がその不動産に居住しているのか、居住していないとしても将来、その不動産に戻る可能性の有無など、処分によって本人に生ずる影響を慎重に判断したうえで、処分の可否が決せられることになります。

 

Q 本人が亡くなった場合には、後見人としてどのようなことをすればよいですか?

A 本人が亡くなった場合、まず、後見人は、家庭裁判所に、死亡診断書の写し、または、本人の死亡の記載のある戸籍(除籍)謄本を、提出します。

また、後見人は、本人の財産目録を作成したうえで財産を相続人に引き継ぎ、家庭裁判所に対し、その報告等を行わなければなりません。

 

Q 本人が亡くなった後に、本人が入院していた病院から、後見人に対して、入院代等が請求された場合、後見人は、支払ってよいのでしょうか?

A 後見人において、本人の入院代の清算を早急に行う必要があると判断した場合には、後見人に残っている財産管理権に基づき、支払うことが許される場合があるとされています。

 

Q 本人が亡くなったため、葬儀を行わなければなりませんが、年齢や病気などの事情で、親族自身で葬儀を行うことが難しい状況です。この場合、後見人が葬儀を行う必要があるのでしょうか?その場合、費用はどうすればよいのでしょうか?

A 後見人は、本人の遺体を引き取ったり、埋葬や葬儀を行う法的義務を負うわけではありません。

ただし、親族をはじめ、周囲の者が、後見人が葬儀を執り行うことを期待しているようなケースも、少なくありません。そのような場合には、後見人が葬儀を執り行わざるを得ないということも、あり得ます。

そのような場合の葬儀費用は、実際上は、本人の遺産から支出するのが通例です。