「結婚の自由をすべての人に」訴訟で尋問期日がありました
自分が弁護団に所属している「結婚の自由をすべての人に」訴訟(所謂「同性婚訴訟」)の東京一次訴訟の尋問期日が、先月10月19日に行われました。
「尋問」と聞くと、刑事ドラマなどのワンシーンから、薄暗い取調室に取調担当の刑事と記録担当の刑事と自分の3人だけがいて、「本当のことを言え!」と凄まれる……という情景を思い浮かべる方もいらっしゃるかも知れませんが、訴訟における尋問はそのようなものではありません(犯罪捜査における尋問(取調べ)も、先に書いたようなものであってはいけないのですが……)。
訴訟における当事者尋問・証人尋問という手続は、大雑把にいえば、当事者や証人の方が経験した事実を裁判所に報告してもらい、証拠にする手続です 。
今回の尋問期日では、原告の皆さんに対する当事者尋問に加え、ある原告の方のご家族お一人にも証人尋問が行われました。
原告団・弁護団は、今回の尋問手続に向けて、「当事者の尋問は必要ない」という姿勢を崩さなかった前裁判長との議論や尋問の実施を求める意見書の提出に始まり、証人尋問の実施を求める署名運動も展開しました。
また、裁判官の異動によって裁判長が交代し、尋問の実施が決定してからは、模擬法廷を使っての証人尋問の練習会など、尋問期日を成功させるために様々な準備をしてきました。
その甲斐あって、尋問期日は原告の皆さんのこれまでの人生と、法律上同性にカップルに結婚という選択肢が与えられていないことによる困難・苦しみを具体的に裁判官に伝えることが出来たと思います。
原告の皆さんそれぞれのお話を限られた紙面に無理やり纏めてしまうと、却って陳腐化してしまうと思いますので、「原告の皆さんはどんなお話をされたのだろう?」とご興味をもってくださった方がおられましたら、是非、下記の動画をご覧ください。
尋問期日に向けた練習会の様子も収めた、尋問期日の期日報告会になります。
今後、「結婚の自由をすべての人に」訴訟東京一次訴訟は、今月17日に進行協議期日(非公開の法廷で、今後の手続の予定を話し合う期日です)、来年2月9日に口頭弁論期日が行われる予定です。
また、東京2次訴訟については、今年の12月16日に口頭弁論期日、12月24日に進行協議期日が行われる予定です。
今後とも、東京訴訟を含め、各地で展開される「結婚の自由をすべての人に」訴訟に関心をお寄せ頂けますと幸いです。
弁護士 藤井啓輔