『画家が見る世界』弁護士 岩坂康佑
最近、西洋絵画に関する本をめくることがあります。私は絵画のことは不勉強で、知識も持ち合わせていませんが、絵画を眺めていると癒されたり感動したりすることがあるため、興味を持ち始めています。
絵画は、それを描いた画家に見えている景色や世界が表れるものであると思います。ある作品を見て、感覚的に「あなたが表現したいこと、わかる!」と思えると、いつまでもその作品を眺めていられます。私にとってはモネやコローの風景画などがそれで、画家に共感した気分になります。他方で、ある物や概念に対して、私では考えつかないような見方をしている作品をみると、自分のものの見方の柔軟性がまだまだであると感じます。中には何を表現したいのかがまったく分からない作品もあり、そうした作品を見ると、人のものの見方は実に多様で単純ではないということを感じます。
このように考えていくと、絵画も立派な表現行為の一つであるということ、また、人間は多様であるということに思い至ります。絵画は、言葉では表現できないような人間の内心世界をビジュアルで表現できるものです。とても重要な表現行為だと思います。そして、そこには人間の多様性がよく顕れます。
印象派の画家たちがフランスで頑張り始めたころ、彼らの絵は当時の評論家などにけちょんけちょんにけなされてしまったそうです。これは、印象派の絵のタッチや内容がその時代において「優れた絵画」と評される作品からかけ離れていたからですが、ひとりひとりの画家が、表現したいものを、表現したいように表現できるのが、健全な社会なのだろうと思います。
パラパラと絵画の本をめくっていますと、どうも、絵画の世界は非常に奥が深そうです。少しずつ絵画のことを学んでいければ嬉しいと思います。
【弁護士 岩坂康佑】