『バランスある生活を!』 弁護士 児嶋初子
新型コロナウイルスによる緊急事態宣言のもと、テレビのニュースや特集番組は、医療現場の危機的状況やくらしと営業に関する深刻な状況などを伝えており、心の痛む日々である。政府の適切な対策により、一日も早く、落ち付いた日常生活が戻ることを願うばかりである。
人との接触機会をできるだけ減らすことを求められ、自宅にいる時間が多くなった。今までの忙しい日常の中でできなかったことを、少しずつやるようにしている。
ウォーキングもその1つで、自宅近くを毎日、30分から1時間歩いているが、運動目的以外にも楽しみがある。家々の庭には、バラ、ツツジ、クレマチス等の花が咲き、道端や野辺にもいろいろな花が咲いている。先日、ウォーキングコースのそばの家に珍しい花を見つけた。背の高い木に黄色の華麗な花が沢山咲いている。この花は初めて見たので、調べてみると、「タベブイア・アルゲンテア」という木で、ハワイなど熱帯や亜熱帯では、街路樹や庭木として植えられ、黄色い花が鮮やかなことから、「ゴールデン・ツリー」と呼ばれているとのことであった。オーストラリアやスペインで見た、「ジャカランダ」に近い仲間に属する植物らしい。このような木が自宅近くで立派に育っているのは、温暖化の影響であろうか。
また、道端で、ゼニアオイやタチアオイのきれいな花を見かける。2年位前、きれいなタチアオイの花を自宅でも咲かせたいと思い、道端の花の種を取り、自宅の庭で蒔いた。芽が出て、成長したが、その成長は微々たるもので、まだまだ花をつけそうにない。いつになったら花が咲くのであろうか。
京都では、毎年5月15日に、葵祭が行われる。葵祭は、上・下賀茂神社で行われる祭で、祇園祭、時代祭とともに京都の3大祭の1つである。
この祭では、アオイ科の植物に葉の形が類似したフタバアオイ(ウマノスズクサ科、古くからアオイと呼ばれていた)の葉を、祭の参加者がかざし花としてつけたり、牛車、桟敷のすだれや家々の軒に飾り付けたりしたことから、この名がついたとのことである。
葵祭の歴史は古く、源氏物語にも登場する。斎王列を見物しようとして、光源氏の妻である葵上と六条御息所が車争いを演じた場面である。この車争いが、後に重大な事件に発展することとなる。今年の葵祭は、コロナの影響で、中止となった。
ところで、国連が毎年発表している世界幸福度ランキングで、フィンランドは2018年と2019年の2年連続で、世界第1位となった。この国では、ワークライフバランスがとれていて、仕事、家庭、趣味それぞれを楽しむことができる。私は、これまで長年仕事中心の「ゆとり」のない生活をしてきた。自宅の庭では、「南天」が花をつけているが、「難を転じる」と縁起を願ったように、この長い自宅生活を機に、これからは身近な自然を楽しみ、文学や音楽を楽しむなど、バランスのとれた生活をしたいものである。
【弁護士 児嶋初子】